クラフト メルクリンとミニチュア模型制作の専門店

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〈おもちゃ博物館〉
町の中央広場にある博物館を訪れました。1953年に開館し、主にザイフェンのおもちゃ産業の発展、ロイヒャーマン、くるみ割り人形、クリスマス・ピラミッドなど、いまではクリスマスに欠かせない装飾品たちに込められた意味や歴史などを5000点以上の展示物で学ぶことができます。私が特に気に入ったのはクリスマス・ピラミッド。日本ではまだなじみがうすいのですが、ろうそくの熱風を受けて、ピラミッドてっぺんのプロペラが回り、これに連動するピラミッドの中の円盤がぐるぐる回るしかけになっています。ピラミッドは一段式のささやかなものから、写真にあるような豪華絢爛、数段飾りまで。写真は博物館内の展示用で非売品です(動力源もさすがに電気)。それぞれの円盤には、キリスト誕生の物語に登場する人々の人形が、時間と空間に従って割り当てられている。かいばおけに眠るキリスト、見守るマリアとヨーゼフの段、それを見にやってきた動物たちと羊飼いの段、東方三賢王の段など。そして、このピラミッドを作った彼らの日常の姿として炭鉱夫が回る段。明かりとしての用途がもともとで天井からつるされていましたが(1830年頃)、やがて、ろうそくの熱が起こす風を動力にしてシャンデリア内の人形をメリーゴーランドのように回すしかけが施こされるようになり(1870年頃)、そのうちこのしかけの方がメインに。こうして、地面に置かれるてっぺんにプロペラを戴いた、現在のようなクリスマス・ピラミッドができあがりました。感動、合掌!!
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私がご案内した「ザイフェンの旅」いかがでしたか?
時を越え、今も夢いっぱいの、おとぎの街ザイフェン。きっと、模型好きの方ならこの地を訪れたくなったんじゃないかしら、2003年暮は暖冬ぎみのドイツですが、ザイフェンはクリスマスにかけて雪が降り、一面の銀世界になりました。夜散歩に出かけると、窓辺に飾られたアーチやピラミッドの明りが外に流れだし、雪道を照らしてくれます。道行く人にもクリスマスの喜びを分けてあげようという住民の気持ちが伝わってくるようで、一層心温まる旅になりました。でも、衝動買いのクリスマスグッズで財布の中が寒くなっちゃったよーん。
最後に、今、日本で氾濫する成形品の大量生産玩具が決して悪いとは思いません。(結果として夢を与えるものであれば)しかしその背景には企業戦略、利益追求ばかりが目つきます。「売れるモノ創り、ニーズを興す」という現代のありきたりのテーマではなく、「よいものを創造する事」がメイキングメーカーとして何よりも大切な事ではないでしょうか。歴史が証明しているように、よいものは永続的に指事され文化をも産みます。ザイフェンはそれを無言で語っているように感じました。
次回は2月5日に訪ねる、ニュルンベルクのトイフェアの最新レポートでお目にかかりましょう。皆様のご意見、お待ちしてまーす。
Mit herzlichen Gruessen,Y. Miyake
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