クラフト メルクリンとミニチュア模型制作の専門店

しかしこの路地をきゅうに道が険しくなり...登ること30分、マルクスブルクの城壁が目の前に見えてきた頃には息はきれぎれ、汗はだらだら、脚はぱんぱん。今回の取材はどうやら体力勝負のようです。でも、上からの眺めはサイコー(写真9)!吹き抜ける風もさわやか。城内では15分おきに見学ツアーが行われており、約一時間かけて城内のあちこちの部屋を案内してもらえます。私もさっそく写真のお兄さんの率いるツアーに参加しました(写真10)。ここはお城の入り口付近にあるRitterweg(騎士の道)。馬に騎乗したままで入城できるように切り立った階段を削り、スロープ状に仕立ててあります(写真11)。耳を澄ませると馬蹄の音が聞こえてくるような気がしませんか?入城すると目の前に広がるのは大砲をずらり並べたお庭(写真12)。この大砲に守られてなのか、マルクスブルクは建造されて以来一度も破壊されることなく今日に至っています。ライン河畔に数あるお城の中でも破壊されたことのないのは、ここマルクスブルクだけなんですよ。
写真8
(写真8/zur Burg(お城へ)の目印を立ててくれている民家住民の優しさが伝わる)
写真11
(写真11/騎士の道)
写真9
(写真9/マルクスブルクからライン川を見下ろす)
写真10
(写真10/ガイドのお兄さんとガイドに聞き入るガイド参加者)
写真12
(写真12/ずらり並んだ大砲)
ここは地下のワインセラー(写真13)。樽の上に並べて掛けてあるピッチャーにワインを移し、この真上にある食堂まで運びました。中世のその昔、一人当たり一日5リッターものワインを飲んだといいます。とはいえ、当時はワインを水で割って飲むのが普通だったそうで、アルコール度数は3パーセント未満と薄いものだったそうです。ワインセラーから階段を上ってくると、そこは台所兼食堂(写真14)。ろうそくがとても高かった中世の時代は、窓から効率よく採光できるよう間取りにも工夫がされていました。そしてここはお仕置き部屋(写真15)。中世で発達した騎士道によれば、不貞、姦淫のたぐいは超厳戒処分!脚かせ、手かせ、貞操帯などの展示がなまなましい。壁面に飾られた中世画には、刑罰の様子が描かれています。
写真13
(写真13/中はほとんど真っ暗のワインセラー)
写真14
(写真14/採光は窓から、暖炉もあります)
写真15
(写真15/様々な拷問グッズ...)
さて、マルクスブルク城を後にし、次のレギオナールエキスプレスで私はさらに南下を続けます。次の目的地はザンクトゴアルスハウゼンです。ザンクトゴアルスハウゼンはライン川下りのハイライト「ローレライ」への出発点となっている街。駅からすぐの波止場では、たくさんの観光客が船に乗降しているのが見えます。バスのお迎えがない個人旅行の私は、路線バスを使ってローレライを目指すことにします。しかしパックツアーが基本のライン川下り、ローレライ行き路線バスはなんと一時間に一本しか出ていない!しょうがなく次のバスまでお昼休憩&波止場前散策をすることにしました。ライン川の対岸に横たわる城はラインフェルス城(Burg Rheinfels)です(写真16)。1245年に建てられ、ドイツで最も堅固な城となりましたが、1792年にフランス軍によって破壊されてしまいました。巨大なだけに、余計廃墟感がただよっています。この日ラインの流れはとても激しく、増水して波止場の橋も流されそうでした(写真17)。
写真16
(写真16/ザンクトゴアルスハウゼンの古城ラインフェルス城)
写真17
(写真17/激しい流れ!かなり増水していて危ない!)
そして1時30分、待ちに待った路線バスがローレライにむけて出発!でも乗客は私一人しかいない。しかも運転手はヤンキーっぽいおねえさんだし。え、ドイツにもヤンキーがいるのかって?それはさておき、私はたった一人の乗客なので最前列の席に座らされ、しばしお姉さんのお話し相手に。しかし楽しい歓談の合間にもお姉さん「ちょっとおっ、ちんたら走ってんじゃないよ!」とか「どこみとるんじゃ、こらーっ!」と罵詈雑言をはきまくる。お姉さんはまだローレライに行ったことがないという。灯台元暗しということもあるけれど、女で一つで二人のお子さんを育てているという彼女には、そんな時間的余裕もないのだという。「ローレライにはね、新しい観光センターがあるの。あたしは行ったことないけど、バスのお客さんがみんなよかったって言ってたわ。ぜひ、そこに言って私の代わりに中を見てきてよ。そして、一時間後帰りのバスの中でそこで何を見たか、是非私に教えてちょうだい。」と、重大なミッションを受けてしまった私。なにせ私のつたないドイツ語で、まだ彼女が見たこともないローレライを語らないといけないのだ。バスは観光センターの前で私を一人残して行ってしまいました。降りがけに「じゃ、一時間後に!乗り遅れないでね!」
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