2012年4月10日

珍・修理の巻

 

メンテナンスご依頼で、メルクリンZ・8821が入庫しました。

届いて箱を開けると。。。ん?


一方の窓がありません。

実は以前、メンテナンス中に窓が外れたことに気づかず、そのままお客様にお戻ししてしまった失敗がありました。

それ以降、かなり慎重に、そ~っと開封するようにしています。

今回は、箱の中で外れて落ちていないか何度も確認しましたがありません。お客様に確認したところ、中古で入手したばかりだったので気がつかなかったとのこと。。。


車両はオーバーホールで抜群の走りになったのに、これでお戻しすることにどうしても納得がいきません。

山のようなジャンクストックも探しましたが、さすがに同型車両がなく、さりとてメルクリンのパーツ供給は原則、ボディアッセンブリで高額、おまけに在庫もなし。

そこで、お客様のご了解のもと、私なりの補修を行なうことにしました。

元来、この窓パーツはプラの一体物で凸の窓サン部分がシルバーでペイントされているのでが、さすがに同じ方法で複製を作るのは大変です。

今回は、窓ワクとガラスの2ピースで作ることにしました。

窓ワクは0.45mm厚の硬質紙を素材に、寸法は微妙な角Rを合わせて、1/10ピッチで数種類のデータを作ってレーザーカット。自然にフィッティングするものを選択しました。


これを調色したシルバーで塗装。紙でも塗装すると表面がコーティングされプラスチックにしか見えなくなります。窓ガラスは0.1mm厚のクリアシートをカット。鼻息で飛びそうなので3組用意しました。


はじめにガラスをボディに合わせ、


この上に窓ワクをのせます。


接着は裏側からフチにそって、車体に悪影響を与えないエマルジョン系ボンドをニードルを使い、少量塗って完了。

純正然、肉眼ではほとんどわからなくなりました。


これで2~3日様子を見て、変型や変色の問題がなければお客様のお手元にお戻しします。

車両は古くなればなるほど、劣化による微妙な変形が手伝い、パーツが脱落しやすくなります。皆様もどうかご注意下さい。