2012年8月 のアーカイブ

2012年8月23日

ターンテーブル(続報)

 

7月27日のブログでご紹介したHOn3(10.5mmゲージ)特注制作でご提供したターンテーブル、お客様のN様から、とても有難いお便りをいただきましたのでご紹介いたします。

N様は1964年前後に日芸油彩科を卒業され、その後1996年にアメリカに渡米、現在はシンガポールに在住。仕事とお住まいの関係で、日本の鉄道模型イベントにはまったく足をお運びになれず、さらにシンガポールでは鉄道模型文化はなく、孤高?の鉄道模型愛好家との談。

昨日、いただいた作品の写真が素晴らしく、このブログでご紹介いただくご了解をいだきました。

ここで、少し脱線しますが「ナローゲージ」が詳しくない方のために、おさらいです…

ナロー(=狭い)ゲージとは、レール幅(=ゲージ)が狭い鉄道の総称で、軽便(けいべん)鉄道とも呼ばれているジャンルです。

ナローゲージは、私たちが日常使っている鉄道とは異なり、レール幅が狭い利点を活かし、クネクネした急カーブのレール敷設が可能で、かつては炭鉱や森林運搬の産業用トロッコ鉄道として昭和の高度経済成長期には、縁の下の力持ちとして全国各地でたくさん活躍していました。

自動車輸送の発展に伴い、現代では一部観光用を除きそれらほとんどが廃線になっていますが、今でも熱心なファンの心を掴んでいる背景には、狭いクネクネしたレールの面白さに加え、機関車も小型で個性的な車両が多かったこと、そしてすでに廃線となった哀愁の念もあるのです。。。

さて、本題。

こちらがN様の作品のワンシーンです。森林伐採のワンシーンがとてもリアルに再現されています。樹木のカラートーン、ボックスの中に構成されたレイアトは光の回りがとても綺麗です。かつての油絵ご専攻…納得です。


そしてこちらが現在制作中のレイアウトです。ナローレイアウトとしては大きく壮大です。

下の写真は製材所内。思わず切りクズを掃きたくなります。


で、ターンテーブルです。こちらはお届けした時のもの。

それがN様の手によって…


こんな風に仕上げていただきました。うーん、素晴らしいですっ!


ターンテーブルだけでなく、車両も素晴らしい仕上がりです。以下、N様からのコメントです。(原文)

「これはもともと動力(モーター)なしの杉山模型さんの車両を動力化したもので、集電をアクリル板に左右の軸受けをネジ留めする事により絶縁、Nゲージと同様にブラシ、配線の無い構造です。 その結果、軽い車両(80g)にもかかわらずポイント部分も流れるように走行します。車輪のクリーニングも簡単で、ガラスクリーナーで洗い、元に戻し、押さえ板をネジ留めすればOK、ブラシの当たりを調節する必要はなく、何時も同じ調子で走ります」

とのこと。。。メカもさることながら車両のペイントテクニックも素晴らしい。

このターンテーブルが前出のレイアウト写真の右手前に設置されるわけですね~


レイアウトの完成がとても楽しみです。

最後にターンテーブルについて、とても嬉しいコメントもいただきました。(原文)

「何時も見事に定位置でテーブルが停止するのを見ていると飽きません。又、堅牢な作りも大変気に入っています。 私が機械物に求める事は何時も結果が同じでしかも長続きする事です。今後も素晴らしい製品の開発を期待しております」

身にしみるありがたいメッセージです。

「今日よりも明日、明日よりも…」

そういう気持ちでモノづくりと生涯、向き合っていきたいと思います。

N様、いや、先輩、どうもありがとうございましたっ!

2012年8月13日

ロンドンオリンピック

 

過ぎればあっという間、

2012 ロンドンオリンピックが間もなく閉会します。

それぞれの競技はもちろん、力の限りを尽くした各国の選手たちの表情がとても素晴らしかった。

実は今年のオリンピック、私は特別な想いで観戦していました…

自分が手掛けた小さな模型に、選手たちを重ねていたからです。


どこかで観たなぁ…と感じる方がいらっしゃるかもしれません。

こちらから、是非もう一度ご覧になって下さい。

こちらは番外編。

現代、広告分野ではスチール、ムービーともにCGありきですが、ひと昔前のアナログ素材のムーブメントが再来する予感がしてなりません…

今後も、ミニチュアエンターテインメントのネックワークを広げて行きたいと思います。

 

2012年8月4日

VT11.5 メンテナンス(2)

 

今回はメルクリンZゲージ「VT11.5(TEE)」のメンテナンスレポートです。

品番は88731、88732、88733、いずれも基本4編成(前後動力2両+中間車2両)で、これらはすでに絶版になっています。


現行モデルは、88734(前後動力2両+中間車5両の7両編成)ですが、基本構造は同一です。

発売されて以来、かなりの台数をメンテナンスしてきましたが、ICE同様、構造的なウィークポイントがいろいろあり、快適なコンディションを保つためには定期的な走行とメンテナンスが必要で、ましてや大切にしまっておくと、接点不良やオイル固着で動かなくなってしまいます。

この編成の大きな特徴は、日本型Nゲージ等に多く見られる「動力車を編成中間に1両置く配置」と異なり、前後に動力車を配し、それぞれが進行方向に合わせて走行(回転)する点です。これによって中間車を空洞化~室内照明を実現させています。

二つの動力車のモーター回転スピードは、モーターやギア周辺コンディションのバラつきで、必ずしも「1:1」ではないため、一方が不調に陥ると、もう一方に強い負荷がかかり、正常に走らなくなります。従って前後二つの動力車を常によい状態に保っておくことが前提になります。

また、編成は接続の順番があります。メンテナンス入庫されるほとんどが、どういうわけか通電を兼ねた連結バーが取外されたバラバラ状態で届きます。動かなくなって、あれこれやってわけがわからなくなったというケースが大半のようです。

これが連結バーです。両面2極の電極を兼ね、編成を貫くようにカスケード通電させています。どこか1箇所に通電不良が起きてもNGになってしまう、とても重要なパーツです。


連結バーは、赤○の部分が、すり減ったり欠けていると、カーブで抜けてしまうため交換が必要になります。電極は表面酸化しやすく、接点不良になると、これまた正常に走らなくなります。

連結バーは下の写真が正常なセット状態です。

黄色の○部分にささっている連結バーは強引に抜いてはいけません。次の写真、B側です。

元からささっている連結バーの穴幅Bと、差し込む側の穴幅Aの関係は「A>B」です。穴幅Bは連結バーの三角部分がひっかかって抜けないようになっています。(屋根を外さないと抜けない構造)

中間車はメンテナンス時に連結バーを取り外すと、方向がわからなくなってしまいますが、写真で示した部分が「赤・黒」になっています。(連結バーは常に赤側にセットしておきます) これはメルクリンならではの細かい配慮ですね。

連結バーの差し込みは、写真のように斜めにしてセットしますが、かなりクセがあります。強引に突っ込むと、受け側の接点が折れてしまうので要注意です。


造作されたレイアウト上で、セットが難しい場合は、平面テーブル上で連結させてからマージャン牌を持つように、そっとレールに乗せます。7編成の場合は、4+3編成で分けてセットするのも有効です。

続いてDIY派のユーザーさんでしたら、ピンとくる部分…と思います。

動力のボディを外した写真です。中古品でメンテナンス入庫の約30%が、赤○の部分にハンダ付け(プチ改造)されてきます。


この部分は真鍮で、接触面積がとても小さいので接点不良が頻発します。ハンダ付けは確実な対処方法ですが、アッパーが容易に外れなくなり、モーター清掃(取外し)の都度、ハンダを除去しなければなりません。

これを繰り返しているうちに周辺樹脂が熱で溶けたり変形するリスクがあります。ハンダ効果はとても高いのですが、私は手間がかかっても入念な清掃で、オリジナル状態に復帰させることが大切ではないかと考えます。

赤▲で示す部分が連結バーの受け口で、接点が折れると下写真パーツ交換になります。今回は編成中、3箇所が折れていました。


続いて、見落としがちな点、中間車の台車の車軸ズレです。台車は軟質樹脂で柔らかく、脱線した際などに簡単にズレてしまいます。滑らかに走らないときは要チェックです。


最後は走行には関係ない部分。動力ボディを外すと、高確率で紛失してしまうパーツがあります。本来、ここに付いているパーツです。


今回の入庫車両は前後ともにありませんでした。


ゴマほどのサイズで、外れたことに気づかないとそのままになりがちです。


接着してもいいのですが、オリジナルのままに、しっかりセットして復活です。



この他にもVT11.5のウィークポイントはいろいろあるのですが、今回はこれくらいで。

今回交換した接点パーツやカプラは幸いにも弊社ストックがありましたが、車両によってはメーカー長期欠品パーツが多く、完全修理できないケースがザラにあります。

中古品の購入検討をされている方はどうか十分にご注意下さい。